Eternal Blue
一面の青い花が風に吹かれざわめいていた
永遠の青なんてないはずなのに
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一族に新しい子供が産まれたはいいのだけれど、大きくするには金が必要で、
結局、一族の中で一番暇なオレが出稼ぎに行くことになった。
今一番金があるところは、聖都。
そこで金を稼ぐには魔導士がいちばんいい。
そんなわけでまずは人呪を覚えようと思った。
それで思い出したのは、昔オレのところに来た魔導士。
「私は全てを知りたい」
「始源の竜の一族のものよ。私に教えてはくれないか。」
人の身で無理な話だと断ったが、気が変わったら来てくれと頼まれた。
その魔導士のもとにいった。
魔導士の住む家の後ろは一面の花畑だった。
土地がやせているので作物は育たないから、村人が花を育てているのだという。
その青い花は咲いた後すぐに散ってしまう。
家の中にまで吹き込む青い花びらを掃除しながら
(何で雑用をやっているんだか)
すぐ散ってしまう花は金になるのかと聞いたら
笑いながら魔導士は言った。
「花が散った後の根は青い染料に使える。村は染め物で有名なんだよ。
有名になる前は、染料として使えると知る前は、ひどく貧しい村だったんだ。」
あの花で染めた青は、花より青く、永く色褪せないといった。
オレは魔導士から人呪を習い、魔導士はオレから竜呪をならった。
でも、人間の魔導士には竜呪は聞こえないし唱えられない。
全てを知りたいという魔導士の願いはかなえられない。
だからせめて永遠の命を手に入れたいと魔導士は願っていた。
でも魔導士は人間。人は竜より遥かに早く年老いていく。
青い花が咲く頃、魔導士は死んだ。
「お前のように長く生きる事が出来たら・・・」
風が吹いて青い花びらが吹雪のように舞った。
長く生きるからといって全てを知ることなんて出来ない。
永遠の命を魔導士に与えることだってできない。
永遠なんて無いと判っている。
青い花の散る中感じたのは
永遠の憂鬱
散っていく命を想う永遠の青
それでも
あんなにはかなく散る青い花から
永く色褪せない青を生み出した
人の英知を
人の想いを
オレは愛する。
END
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